今年に入って初めて映画館で新作観てきました。
先週末に公開されたばかりの話題の新作「テネット」です。
本作の監督クリストファー・ノーランの作品と言えば、「インセプション」「インターステラー」など難解で緻密な世界観の映像体験が醍醐味。今回はその集大成とも言える「脳爆必至」な作品との触れ込みに期待を募らせ、食らいついていく意気込みで鑑賞してきました。
さらに今回は映像のクオリティにも期待して、日本に2箇所のみという「IMAXレーザー/GTテクノロジー」を導入したシアターで観てきました。
今回もまだ未鑑賞の方になるべく配慮しながら「見どころ」の一部をお伝えできればと思います。
見どころ1 難解だけど引き込まれる「設定」
「時間概念」の映像表現は過去作からもこの監督が重要視しているテーマと伺えます。
本作品でも151分の鑑賞時間の中で、多層的な時間の旅を体験できます。
特に本作品では「時間の順行・逆行」という、従来SFのタイムスリップよりやや複雑な現象の設定が持ち込まれています。ただこれは全くの絵空事や思いつきの産物というわけではないらしく背景に理論物理学の知見が盛り込まれているようです。
その前提で挫折しそうになりますが、作品が進んでいくうち大筋は理解できるので極端に不安になることはありません。
ただそういった我々の世界につながる科学的裏付けがある設定だと思うと、何とか理解してみたいという風な気持ちが沸き起こってきます。
見どころ2 没入感が半端ない「未知の映像表現」
万一ストーリーが掴みきれなくても、これまで観た映画の「どれもとも違う映像描写」は一見の価値ありです。
まずはCMでGACKTも語っている「登場人物が逆行の時を動いているときのアクション」。違和感なく見えているため、通常の演技を逆再生して編集しているのかと思いきや、実際は撮影時点で「通常の時間の流れと逆の動きで演技をしている」というのには絶句です。
役者たちも未知の演技に戸惑いながら、ハードなトレーニングを課すことで何とか実現できたとのこと。
あと劇中、壮大な戦闘や破壊シーンが何度かあるのですが、ほぼ「CGを使っていない」そうです。これは監督の「CGは使った所が視聴者にもわかってしまう」というこだわりによるもので、オペラでのテロシーンや、本物のジェット飛行機を爆破させるシーン、8キロに及ぶ高速道路のカーアクションのシーンなどは全て「ドキュメンタリーのように実際に実物を撮影」したそうです。
これらの贅沢な撮影によって、この世界観の「説得力」が強まり、深い「没入感」を体感することできました。
見どころ3 理解と感動が比例する「超密度のストーリー」
映画が始まった最初の方はとにかく人が入り乱れて誰が誰と戦っているのかもついていけません。
気がつくと何やら意味深なことを話す人物が、主人公らしき黒人男性に世界大戦から人類を救うためのミッションを伝えます。そこから主人公とその仲間が謎を解く手がかりを求めて、スパイ映画さながらに世界各国に飛び回ります。
…といった感じでしばらくの間、何が何だかついていけないままに状況ばかりが前に進んでいくので徐々に取り残されていく不安が募ってきます。
ただ途中から少しづつ伏線回収がちらほら出始めて、おぼろげに筋は掴めてくるんですが、やはり最終的にかなりの消化不良感が残る、といった印象です。
そんなモヤモヤを抱えて映画館を後にし、スマホ片手に食事しながらネットに転がっている映画の解説レビューを見て、自分の推察や疑問の答え合わせをしていくのが結構楽しかったです。
その過程で分かったのは、この作品は難解な設定だけの底の浅い内容ではなく、超密度の展開の中にしっかりその世界に生きる人々の「感動の物語」が盛り込まれているということです。
しかし初見はやはり処理が追いつきません。
なので、初見後に少し答え合わせができたら、改めて鑑賞することによって「新たな発見」と「深い感動」を幾重にも実感できる、そんな類の映画だと認識した方がかえって楽しめます。
具体的には「次は拾いきれてなかった『伏線回収』をテーマに観てみよう」とか、「次は『主人公以外の登場人物視点』で観てみよう」とか。
とにかく「味わう角度がやたらと多い」厚みのある作品といえるので最低でも2〜3回は観ても楽しめそうなポテンシャルを感じています。
あとがき
上記の説明で「何だか小難しそう」で観るのをためらう人もいるかも知れませんが、私がこれまで観てきた映画の中でも類を見ない「底の深さ」を持った映画だと思います。
あと繰り返しになりますが映像の迫力はやばいです。
今回100%映画館での鑑賞向きの作品と確信し、国内最高峰の高精細映像「IMAXレーザー/GTテクノロジー」拝むべく、奮発してグランドシネマサンシャイン(池袋)に赴き鑑賞してきました。
とにかくスクリーンがバカでかく、ほぼ視界でした(通常の40%縦に広い)。画質はデュアル4Kレーザープロジェクター、音響も12chのオーディオシステムといずれも未知の体験でちょっとした「テーマパークのアトラクション」さながら。作品世界への没入感が半端なく、映画が始まってしばらくの間鳥肌が立ち続けてました。
「IMAXレーザー/GTテクノロジー」を導入したシアターは国内に東京・池袋(グランドシネマサンシャイン)、大阪・吹田(109シネマズ大阪エキスポシティ)の2箇所にしかありませんが、もし機会があったらぜひ体感ください(鑑賞料は700円UPです)。
あとこれから観に行くという方は、もしかしたら事前に少し(例えばwikipediaのあらすじ程度の)情報を入れとくことで、冒頭の置いてきぼり感を多少緩和できるかもしれません。
では未知の映像体験を是非お楽しみください。
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